男性の離婚 その3 婚姻費用(part1)

こんにちは。ho-rituiroiroです。

 

今日から、離婚条件の詳しい内容について書いていこうと思います。

まずは、婚姻費用についてです。

 

巷では「コンピ」と略称されることが多い婚姻費用ですが、簡単にいえば、離婚が決まるまでの生活費のことをいいます。

 

旦那さんがサラリーマンで、奥さんが専業主婦、子どもが1人いて、家計は奥さんが全部管理しているというような家庭を考えましょう。

 

この家庭では、旦那さんが稼いだ給料は、奥さんが管理する旦那さん名義の口座に入金されます。旦那さんは、奥さんから月々幾らかのお小遣いをもらうだけで、家計がどうなっているかよく知りません。

 

あるとき、奥さんが、離婚することを前提に、子どもを連れて実家に帰ってしまいました。旦那さんの預金通帳などは置きっぱなしでした。

 このとき旦那さんは「よっしゃ!自由にお金を遣えるぞ!」と思うかもしれませんが、そう甘くないのが現実です。

奥さんは、旦那さんに対して、「離婚が決まるまで、同居中に私や子どもに使われていたのと同じくらいの生活費を支払ってください」と言うことができます。

これが、婚姻費用の請求です。

 

なぜ婚姻費用を支払わないといけないかというと、法律上の夫婦である以上は、奥さんとお子さんを養わないといけないと法律で決められているからです。これを扶養義務といいます。

 

そして、婚姻費用は、「奥さんが出ていった理由が何であれ」、「奥さんが実家で養ってもらっているといった事情があったとしても」払わないといけないものです。

 つまり、婚姻費用の支払義務をなくすことは、基本的にできません。

 

この点、「婚姻費用の請求が信義誠実の原則に反するときは請求が認められない」という結論だけをホームページで見つけて主張しようとする方がいますが、ハッキリ申し上げて、時間の浪費以外の何物でもありません。

 信義誠実違反を理由にある請求を認めないことは、法律上認められている権利行使をできなくするものですから、「よっぽどの事情」が必要です。

当事者にとっては「妻が勝手に出ていった!」、「妻は実家で悠々と暮らしているのに!」といった事情は「よっぽどひどい事情」なのかもしれませんが、世の中からみれば、「ありふれた事情」にすぎません。

したがって、こうした事情を主張しても、時間の浪費ですし、滑稽ですらあります。

 

婚姻費用が幾らになるか?ということは、夫婦の収入、子どもの数と年齢で決まり、裁判所が作成した「婚姻費用・養育費算定表」によって具体的な額が決められることが一般です。

また、検索エンジンで「婚姻費用 計算」と検索すると、夫婦の収入と、子どもの年齢を入れればすぐに計算できるサイトが出てきますので、おすすめです。

 

以上、婚姻費用に関する導入的なことを書きました。

このサイトでは「諦め」を強調していますが、婚姻費用はまさに「諦め」が肝心です。

色々なことを主張してみても、結局は、算定表の範囲内で金額が決まります。

 

婚姻費用は離婚するまでの「入口」ですから、ここで時間を浪費することは無駄です。

婚姻費用の請求がされた場合には、「算定表の範囲内ならいいよ。そんなことよりさっさと先に進もうぜ」とスマートに振る舞うことが勧められます。

 

そんなところで、次回は、婚姻費用のより具体的な算定方法と、減額を求めることができるケースについて書いていくつもりです。

 

part2に続く。